光回線の解約と撤去工事|設備は残していいのかを現役工事人が解説
光回線を解約したら設備の撤去は必要?現役工事人が、残置が基本である理由、撤去工事で実際にやること、賃貸の原状回復、返却が必要な機器と費用まで解説します。

「解約したら、壁の光コンセントも外してもらえるんですか?」
工事の説明をしていると、こう聞かれることがあります。結論から言うと、外しません。そして、それで問題ありません。
撤去工事に伺うことは、実はそれほど多くありません。私たちが現場で見ているのは、前の入居者の設備がそのまま残っていて、それを次の人が使う、という光景のほうがずっと一般的です。
この記事では、解約したときに設備がどうなるのか、撤去が必要になるのはどんなときか、そして撤去工事では実際に何をするのかを解説します。
解約しても、設備は基本そのまま残ります
光回線を解約すると、回線としては使えなくなります。ただし物理的な設備は、次のように扱われます。
| 設備 | 解約後の扱い |
|---|---|
| 壁の光コンセント | そのまま残す(残置) |
| 宅内の配線・モール | そのまま残す |
| 屋外の引き込みケーブル | そのまま残すことが多い |
| 外壁の引留金具 | そのまま残すことが多い |
| ONU・ホームゲートウェイ | 返却が必要 |
| レンタルのWi-Fiルーター | 返却が必要 |
つまり、返すのは機器だけで、建物に付いているものは残るのが基本形です。
なぜ残すのか
理由はシンプルで、残しておいたほうが次の人に都合がいいからです。
光コンセントが残っていれば、次に入居した人は無派遣工事(作業員が来ない切り替えだけの工事)で開通できる可能性があります。工事の待ち時間も費用も減るので、誰も損をしません。
逆に撤去してしまうと、次の入居者はまた一から引き込み工事をすることになります。壁に穴を開け直す可能性も出てきます。だから、あえて撤去しないのです。
撤去工事が必要になるとき
では、どんなときに撤去工事をするのか。主に次のケースです。
賃貸で原状回復を求められた場合 契約内容によっては、退去時に設備の撤去が指定されていることがあります。ただし光コンセントの残置を認める物件も多く、必ず撤去というわけではありません。
大家さん・管理会社から依頼された場合 外壁のケーブルや金具が景観上ふさわしくない、次の工事の妨げになる、といった理由で撤去を求められることがあります。
建物を取り壊す・大規模改修する場合 解体前に設備を撤去する必要があります。この場合は所有者側から手配されるのが一般的です。
独自回線を使っていた場合 NURO 光やauひかりなどの独自回線は、事業者によって撤去の扱いが異なります。NTT系の設備より撤去を求められる可能性があるため、解約時に必ず確認してください。
撤去工事では実際に何をするのか
撤去が決まった場合、私たちが行う作業はおおむね次のとおりです。
屋外側の作業
電柱から引き込んでいる光ケーブルを外し、外壁に付いている引留金具を取り外します。高所作業車やはしごを使う点は、引き込み工事のときと同じです。
宅内側の作業
室内に入っている光ケーブルと光コンセントを取り外します。モール(配線カバー)で保護していた場合は、それも一緒に外します。
埋め込み型なら「元のプレート」を用意してください
アパートやマンションで原状回復する方に、必ず知っておいてほしい点です。
壁に埋め込むタイプ(電源やテレビ端子と同じプレートに収まる一体型)の光コンセントを設置した場合、工事のときに元々付いていたプレートを外しています。そして外したプレートは、その場でお客様にお渡ししているはずです。
原状回復で壁を元の状態に戻すには、このプレートが必要になります。撤去の立ち会いのときに、作業員へ渡してください。
穴と壁の扱い
ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。
引き込みのために開けた穴は、塞いだ状態で残ります。 撤去してもコーキング材で埋められた状態になるだけで、壁が工事前の姿に戻るわけではありません。ビス留めの跡も同様です。
つまり「撤去すれば元通り」ではないため、賃貸で原状回復を気にしている方は、撤去そのものよりも工事の前に穴あけやビス留めの承諾を取っておくことのほうが重要になります。この点は賃貸で光回線工事の許可を取る方法で解説しています。
所要時間は、内容にもよりますが引き込み工事より短く終わることが多いです。立ち会いは必要になります。
返却が必要なもの、忘れると起きること
建物側の設備は残しますが、レンタルされている機器は必ず返却が必要です。
- ONU(回線終端装置)
- ホームゲートウェイ
- 事業者からレンタルしていたWi-Fiルーター
- 電源アダプタ・LANケーブルなどの付属品
返却が遅れたり、機器を紛失・破損したりすると、機器損害金や違約金を請求されます。金額は事業者と機種によって異なりますが、決して小さくない額になることがあります。
解約を申し出ると返却用のキットが送られてくるのが一般的です。届いたらすぐ梱包して返送してください。付属品まで含めて返すのがポイントで、アダプタだけ見当たらない、というのはよくある話です。
解約にかかる費用
解約時に発生しうる費用は、大きく3つです。
解約金(違約金) 契約期間の途中で解約した場合にかかります。更新月に解約すればかかりません。近年は解約金がない、または低額のプランも増えています。
工事費の残債 「工事費実質無料」は、分割払いと同額の割引を毎月あてる仕組みが主流です。割引期間の途中で解約すると、残りの工事費が一括で請求されます。工事費が4〜5万円台の回線もあるため、ここが一番大きな金額になることがあります。
撤去工事費 撤去する場合にかかります。無料の事業者もあれば、費用がかかる事業者もあります。撤去が必要かどうかと合わせて確認してください。
いずれも金額は事業者・プラン・契約時期によって変わるため、解約を申し出る前にマイページや問い合わせ窓口で確認するのが確実です。
乗り換えなら、そもそも解約が不要なことがあります
見落とされがちですが、乗り換え先によっては「解約」という手続きを踏まないケースがあります。
- 光コラボから光コラボ(事業者変更):設備を引き継ぐため、解約金が発生しない形で乗り換えられることがあります
- フレッツ光から光コラボ(転用):同じく設備を引き継げます
この場合、撤去工事も新規工事も発生しません。手続きだけで事業者が切り替わります。
一方、光コラボから独自回線(またはその逆) は設備が別系統なので、解約と新規契約の両方が必要です。旧回線の撤去の話もここで出てきます。
回線を変える目的が「夜だけ遅い」なら、乗り換える前に接続方式を確認してください。PPPoEのままなら、プラン変更だけで解決することがあります(IPv6(IPoE)とは)。
よくある質問
解約したのに光コンセントが残っていて気になります
見た目が気になる場合を除けば、残しておいて問題ありません。次に光回線を契約するとき、その設備がそのまま使えることも多いので、むしろ資産だと考えてください。
前の入居者の設備が残っています。使えますか?
使える可能性があります。ただし設備の状態や契約する回線によっては、あらためて派遣工事が必要になります。判断のポイントは光コンセントがあっても工事が必要なケースにまとめました。
自分でケーブルを外してもいいですか?
やめてください。設備は事業者の所有物です。無理に外すと破損や損害金の対象になりますし、光ファイバーの切断面を覗き込むと目を傷める危険もあります。撤去が必要なら事業者へ連絡して手配してもらってください。
撤去には立ち会いが必要ですか?
宅内の作業がある場合は必要です。屋外だけで完結する内容なら不要なこともありますが、事業者の案内に従ってください。
解約日は日割りになりますか?
事業者によります。月末締めで日割りにならないプランもあるため、解約のタイミングを決める前に確認しておくと無駄がありません。
引っ越しで解約する場合も同じですか?
引っ越しでは「解約して新規契約」のほかに「移転手続きで契約を引き継ぐ」という選択肢があります。どちらが得かは残債の有無で変わるので、光回線の引っ越し手続きを先に確認してください。
まとめ:返すのは機器、残すのは設備
- 解約しても、光コンセントや宅内配線は残置が基本。次の入居者が使えるため
- 撤去が必要になるのは、賃貸の原状回復、所有者からの依頼、建物の解体など限られた場合
- 撤去しても穴やビス跡は塞いだ状態で残る。「元通り」にはならない
- 埋め込み型の光コンセントを元に戻すには、工事のときに渡された元のプレートが必要
- ONUなどのレンタル機器は必ず返却。付属品まで含めて返さないと請求されることがある
- 費用は解約金・工事費残債・撤去費用の3つ。一番大きいのは工事費残債になりやすい
- 光コラボ同士の乗り換えなら、解約も撤去も発生しないことがある
解約と聞くと身構えてしまいますが、建物に手を入れる作業はほとんど発生しません。まずは機器の返却と、賃貸なら管理会社への確認。この2つを押さえておけば十分です。

