光回線の引っ越し手続き|移転と新規契約どちらが得かを現役工事人が解説
光回線の引っ越しは移転手続きと新規契約のどちらが得?現役工事人が判断の基準、連絡するタイミング、新居で工事できないケース、旧居の設備の扱いまで解説します。

引っ越しシーズンに工事へ伺うと、「やっと来てくれました」と言われることがよくあります。話を聞くと、入居してから1か月近くネットのない生活を送っていた、というお客様も珍しくありません。
光回線は引っ越し当日から使えるものではなく、しかも2〜4月は工事枠が埋まります。連絡が遅れるほど、この「ネットのない期間」が長くなります。現場の感覚では、3月は毎年パンク状態です。
この記事では、光回線の引っ越しで決めるべきこと、連絡するタイミング、そして工事人の立場から見た「新居で工事できるか」の話を解説します。
まず決めること:移転手続きか、解約して新規契約か
引っ越しのとき、選べる道は2つです。
| 移転手続き | 解約して新規契約 | |
|---|---|---|
| 契約 | そのまま引き継ぐ | いったん切って結び直す |
| 解約金 | かからない | 更新期間外ならかかる |
| 工事費の残債 | 分割のまま引き継げることが多い | 一括請求されることがある |
| 新規キャンペーン | 対象外 | キャッシュバック等を使える |
| 手続きの手間 | 少ない | 解約と申込みの両方が必要 |
| 回線の変更 | 同じ事業者のまま | 別の事業者へ乗り換えられる |
判断の軸はシンプルで、今の契約に「縛り」がどれだけ残っているかです。
- 解約金や工事費の残債が残っている → 移転手続きのほうが安く済むことが多い
- 更新月が近い、または残債がない → 新規契約でキャンペーンを使うほうが得になりやすい
新規契約の特典は数万円規模になることもあります。一方で移転にも工事費はかかるため、「移転だから無料」ではありません。両方の金額を出して比べてください。
連絡するタイミング:住所が決まったらすぐ
手続きの順番はこうです。
- 引っ越し先の住所が決まる
- その回線が新居のエリアで使えるかを確認する
- 移転か新規かを決める
- 事業者へ連絡(移転の場合)または解約と新規申込み
- 新居の工事日を調整する
- 旧居の設備をどうするか確認する
ポイントは2番です。エリア確認を先に済ませておくと、「移転しようとしたらエリア外だった」という手戻りを防げます。
新居で工事できるとは限りません
ここが工事人として一番伝えたい部分です。移転手続きであっても、新居での工事は新規と同じ条件で判定されます。
「今まで使えていたから、引っ越し先でも同じように使えるはず」と思われがちですが、回線が使えるかどうかは住所と建物ごとの話です。旧居で問題なく使えていたことは、新居では何の保証にもなりません。
新居で確認すべきことは、住まいのタイプで変わります。
戸建てへ引っ越す場合 提供エリアに入っているか、電柱から建物までの経路に問題がないか、宅内に使える配管があるか。築年数が古い建物では、配管が潰れていて通線できないことがあります。
マンションへ引っ越す場合 建物にその事業者の設備が入っているかが絶対条件です。設備がなければ、同じ事業者でもマンションタイプでは契約できません。加えて、配線方式(光配線・VDSL・LAN配線)によって速度の上限が変わります。
賃貸へ引っ越す場合 派遣工事になるなら、大家さんや管理会社の許可が必要です。入居前でも、鍵の引き渡し後でなければ工事できないことがほとんどなので、日程には余裕を見てください。
工事できない理由の詳しい内訳は工事ができないと言われたら、賃貸の許可の取り方は賃貸で光回線工事の許可を取る方法で解説しています。
新居に光コンセントがある場合
前の入居者が光回線を使っていた部屋なら、光コンセントが残っていることがあります。この場合、作業員が訪問しない無派遣工事で開通できることがあり、期間も短く済みます。
ただし、光コンセントがあっても設備の状態や契約する回線によっては派遣工事になります。判断のポイントは光コンセントがあっても工事が必要なケースにまとめました。
引っ越し当日からネットは使えません
ここは誤解が多いところなので、はっきり書いておきます。
光回線の開通は、引っ越し当日ではなく工事日です。工事日は入居後に設定されることが多く、繁忙期なら入居から数週間後になることもあります。
つなぎの手段としては、次のような選択肢があります。
- スマホのテザリング:短期間・軽い用途なら十分。通信量に注意
- モバイルWi-Fiの短期レンタル:数日〜数週間単位で借りられます
- 事業者の貸出サービス:開通までモバイルWi-Fiを貸してくれる事業者があります。申込み時に確認を
- ホームルーターへ切り替える:在宅勤務などで待てない場合、そもそも工事のいらない回線に変える判断もあります(工事不要のホームルーターはあり?)
旧居の設備はどうなるのか
引っ越し元に残った光コンセントやケーブルの扱いも、よく聞かれます。
基本は残置(そのまま残す) です。次の入居者がそのまま使えるため、撤去せずに残すのが一般的な扱いになります。ONUなどのレンタル機器は返却が必要ですが、壁の光コンセントや宅内の配線は工事の対象になりません。
ただし、次のような場合は撤去を求められることがあります。
- 賃貸の契約で、原状回復として撤去が指定されている
- 大家さんや管理会社から撤去を依頼される
- 外壁への引き込み設備の撤去を求められる
撤去工事が必要かどうか、費用がかかるかは事業者と物件によって異なります。賃貸なら、退去手続きのときに管理会社へ「光回線の設備は残置でよいか」を確認しておくと確実です。撤去工事の作業内容や返却が必要な機器は光回線の解約と撤去工事で詳しく解説しています。
費用として見るべき項目
移転と新規、どちらの場合も次を確認してください。
移転手続きの場合
- 移転にともなう工事費(派遣か無派遣かで変わります)
- 事務手数料
- 引き継いだ工事費残債の残り回数
解約して新規契約の場合
- 更新期間外の解約金
- 工事費の残債(一括請求されることがあります)
- 新居での新規工事費(実質無料のキャンペーンが使えることが多い)
- 契約事務手数料
- 受け取れるキャッシュバックや特典
回線選びからやり直すなら、住まいの条件で候補を絞ってから料金を比べるのが失敗しにくい順番です。光回線を工事条件で比較で、住まいタイプ別の判定を整理しています。
よくある質問
引っ越し先が決まっていませんが、先に手続きできますか?
住所が確定していないと、エリア判定も工事日の調整もできません。ただし「引っ越す予定がある」ことは事業者へ伝えておけます。繁忙期は枠が埋まるため、住所が決まった当日に連絡するくらいの意識でちょうどいいです。
電話番号は引き継げますか?
光電話の番号は、同じ市内局番のエリア内での移転なら引き継げることが多いです。エリアをまたぐ引っ越しでは番号が変わります。番号を維持したい場合は、手続き前に事業者へ確認してください。
引っ越し先でも同じ速度が出ますか?
保証はできません。建物の配線方式(マンションのVDSL方式なら100Mbps程度が上限)、局からの距離、同じ分岐グループの混み具合で変わります。仕組みは光回線は戸建てでも「共有」で解説しています。
移転工事にも立ち会いは必要ですか?
新居で派遣工事になる場合は必要です。無派遣工事なら不要で、届いた機器を自分で接続します。どちらになるかは事業者からの案内で分かります。
実家に戻るので一時的に解約したいのですが
解約は可能ですが、契約期間の途中なら解約金と工事費残債が発生することがあります。数か月後にまた使う予定があるなら、休止できる制度があるか事業者へ確認してみてください(事業者によって扱いが異なります)。
まとめ:住所が決まったら、その日に動く
- 引っ越しの選択肢は「移転手続き」と「解約して新規契約」の2つ
- 解約金や工事費の残債が残っているなら移転、残っていないなら新規のキャンペーンが有利になりやすい
- 移転でも、新居での工事は新規と同じ条件で判定される。今使えていることは保証にならない
- 引っ越し当日からネットは使えない。つなぎの手段を用意しておく
- 旧居の設備は残置が基本。賃貸なら管理会社へ確認を
- 2〜4月は工事枠が埋まる。住所が決まった時点で連絡する
引っ越しでネットが使えない期間は、思っているより長くなりがちです。工事の枠を確保することが最優先だと考えて、住所が決まったらその日のうちに動いてください。


