光回線工事の流れ|申込みから開通までを現役工事人が解説

光回線の申込みから開通までを、現役工事人が時系列で解説。戸建てとマンションの工事内容、立ち会い、穴あけ、所要時間、当日までの準備が分かります。

電柱から戸建てへ光回線を引き込み、室内のONUへ接続する流れのイラスト

「光回線を申し込みたいけど、工事って何をするの?」「当日は立ち会いが必要?」「壁に穴を開けられたりしない?」

初めて光回線を契約する方から、現場でこうした質問を本当によく受けます。この記事では、光回線工事に日々携わっている現役の工事人の立場から、申込みから開通までの流れを時系列で解説します。

戸建てとマンション(集合住宅)では工事内容が大きく違うので、それぞれのケースに分けて、公式サイトにはあまり書かれていない「現場のリアル」も交えてお伝えします。読み終えるころには工事当日のイメージができて、不安なく開通日を迎えられるはずです。

光回線工事とは? そもそも何をする工事なのか

光回線工事とは、電柱を通っている光ファイバーケーブルを自宅まで引き込み、宅内に「光コンセント」と「ONU(回線終端装置)」を設置して、インターネットが使える状態にする工事のことです。

分離型の光コンセントから白い光コードをONU側面下部のLINE区画へ接続した状態
壁の「光コンセント」と、そこに接続する「ONU」。工事のゴールはこの2つの設置です。

工事のゴールは、光の信号が自宅の機器まで届く状態を作るところまでです。Wi-Fiルーターの設置や各部屋へのLAN配線は、基本の工事範囲には含まれていません。

ただし、これらは申込み時に事業者へ伝えておけば、オプションとして工事当日にまとめて対応してもらえることがほとんどです。逆に、当日その場で「ついでにLAN配線もお願いします」と頼まれても、作業指示に入っていない内容は対応できません。部材や作業時間の関係で、物理的に難しいことも多いのです。

申込みから開通までの全体スケジュール

まず全体像です。標準的なケースでは、申込みから開通までおおむね2週間〜1か月かかります。

  1. 申込み・提供エリアの確認(即日〜数日)
  2. 工事日の調整(申込みから数日以内に連絡)
  3. 工事前の準備・書類やONUの受け取り(工事日まで)
  4. 開通工事当日(立ち会い必須。戸建てとマンションで内容が分かれます)
  5. ルーター設定・利用開始(当日)

工事当日の所要時間の目安は、戸建てで1〜2時間、マンションで30分〜1時間です。半日かかるような大掛かりな作業ではないので、そこは安心してください。

引っ越しシーズンの2〜4月は工事枠が埋まりやすく、1か月半〜2か月待ちになることも珍しくありません。現場の感覚としても、3月は毎年パンク状態です。引っ越しに合わせて開通させたい方は、入居日が決まった時点ですぐ申し込むのが鉄則です。

引っ越しにともなう手続き(今の契約を引き継ぐか、解約して新規契約にするか)は光回線の引っ越し手続きで解説しています。

それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:申込みと提供エリアの確認

光回線は、住所によって使える回線・使えない回線があります。申込み時には、各事業者の公式サイトでエリア判定を行います。

ただ、工事人として知っておいてほしいのは、エリア判定が「◯」でも実際に引き込めるかは現地次第だということです。現場で工事ができない(または追加対応が必要になる)理由として多いのは、次のようなケースです。

  • 宅内に使える配管がない:電話用の配管がそもそもない、途中で潰れている・詰まっていて通線できない。実はこれが工事不可の理由として一番多いパターンで、築年数の古い建物で特に起こりがちです。戸建てなら別ルート(露出配線)で対応できることが多いですが、マンションでは開通できない場合があります(詳しくは各セクションで解説します)。
  • 電柱から建物までの距離が遠い、または間に他人の敷地・私道がある
  • 建物の周囲に光ケーブルを固定できる場所がない
壁の内側の配管を通って光ケーブルが室内の光コンセントへ引き込まれている断面図
光ケーブルはこうした既存の配管を通して宅内へ。この配管が使えるかどうかが工事の分かれ目になります。

また、マンション・アパートの場合は前提として、建物に光回線の共用設備が入っていなければマンションタイプの申込み自体ができません。エリア判定の時点で「提供不可」となるか、申込み後の確認で判明します。その場合は、戸建てと同じファミリータイプで個別に引き込むか、他の回線・ホームルーター等を検討することになります。

どの回線に申し込むか迷っている方は、光回線を工事条件で比較した記事で建物タイプ別の選び方を解説しています。

賃貸住宅の場合は、申込み前に大家さんか管理会社へ工事の許可を取っておくことも重要です。ビス留めや壁への穴あけが発生する可能性があるためです。具体的な伝え方は賃貸で光回線工事の許可を取る方法で解説しています。

ステップ2:工事日の調整と立ち会いの確認

申込みが完了すると、事業者から電話やメールで工事日調整の連絡が来ます。ここで現場からのアドバイスをいくつか。

まず費用面。土日祝は工事基本料に割増料金が追加されます。平日に休みを取れる方は、平日指定のほうが確実に安く済みます。

時間帯は「午前・午後」といった枠での指定が基本で、「13時ちょうどに来てほしい」というピンポイント指定は基本的にできません。前の現場の状況次第で到着時間が前後するため、当日は指定枠の間、在宅できるようにしておいてください。

ただ、申込みや日程調整の段階で「午後の早めだと助かる」といった希望を伝えておくのはアリです。確約はできませんが、その情報は私たち工事業者にも共有されるので、当日の回り順を組むときに考慮はしています。言うだけならタダなので、都合がある方は遠慮なく伝えておいてください。

また、工事には契約者本人または家族などの立ち会いが必須です(無派遣工事を除く)。作業員を宅内に入れる必要があるためで、お子さんだけの立ち会いは不可としている事業者がほとんどです。

ステップ3:工事当日までの準備

工事日までに、次の準備をしておくとスムーズです。

機器の受け取り:事業者によっては、ONUやホームゲートウェイが事前に宅配で届きます。当日必要になるので、開封して工事予定の部屋に置いておいてください。

設置場所の確保:光コンセントは、電話の配管(モジュラージャック)やエアコンダクトの近くに設置するのが一般的です。設置してほしい部屋のテレビ台の裏や家具の周辺を片付けておくと、作業時間が短縮できます。

壁に設置された電話用モジュラージャックと、差し込む前のモジュラーケーブル
壁のこの差込口=モジュラージャックの近くが、光コンセントの設置場所の第一候補になります。

設置場所のイメージ:「リビングのこの辺りに置きたい」という希望があれば、当日伝えられるように考えておいてください。ただし、建物の構造(配管ルート)によっては希望に添えない場合もあります。ルート上どうしても難しいときは代替案を提案しますので、その場で相談しながら決めましょう。

そのほかの準備事項は光回線工事当日の準備チェックリストにもまとめています。

ステップ4:開通工事当日の流れ【戸建ての場合】

戸建ての標準的な工事は、次の流れで進みます。所要時間は1〜2時間程度です。

1. 挨拶と作業内容の確認(10分)

インターホンを鳴らして挨拶し、光コンセントの設置希望場所と、屋外のケーブルルートを確認します。ここで要望があれば遠慮なく伝えてください。作業が始まってからの変更は難しいこともあります。

2. 電柱から建物への引き込み(30分〜1時間)

高所作業車やはしごを使い、最寄りの電柱から光ケーブルを建物の外壁まで架け渡します。ケーブルは外壁に金具(引留具)で固定します。

この金具の取り付けにビス留めが必要になる場合があり、賃貸で許可が取れていないとここで工事がストップします。

高所作業車のバケットに乗った作業員が、電柱から住宅の外壁へ光ケーブルを架け渡している様子
電柱側での作業の様子。ここは作業員におまかせでOKです。

3. 宅内への引き込み

外壁まで来たケーブルを宅内に入れるルートは、次の優先順位で決まります。

  1. 電話用の配管を利用:既存の配管に通すので、壁の見た目も変わりません。最も多いパターンです。
  2. エアコンダクトからの露出配線:配管がない・使えない場合は、エアコンの穴からケーブルを引き込み、壁沿いの露出配線で光コンセントまで持っていきます。外壁は目立ちにくいようケーブルを固定し、室内はモール(配線カバー)等で目立ちにくいように保護します。
エアコンダクトの穴から壁沿いにモールで保護されたケーブルが光コンセントまで配線された室内
露出配線でもモール(配線カバー)で保護するので、見た目はこの程度に収まります。

「壁に穴を開けられるのでは」と心配される方が多いのですが、まず既存配管、次にエアコンダクトの露出配線で対応するのが基本で、新規の穴あけは極力避けます。どうしても必要なときも、必ず事前に説明して同意をいただいてから開けます。勝手に開けることはありません。

穴あけが必要になる条件は光回線工事で穴あけするケースで詳しく解説しています。

4. 光コンセントの設置とONUの接続(20〜30分)

宅内に引き込んだケーブルの先に光コンセントを設置し、専用の測定器で光信号のレベルを測定します。問題なければONUを接続し、通信試験を行って工事完了です。完了後に作業内容の説明とサインをいただいて、退出となります。

光ファイバーを接続した光パワーメーターに、マイナス18.5デシベルミリワットの測定値が表示されている
光信号が規定のレベルで届いているか、専用の測定器で必ず確認します。

ステップ4:開通工事当日の流れ【マンション・アパートの場合】

集合住宅の場合、工事内容は建物にどの設備が入っているかでほぼ決まります。戸建てより簡単に終わることが多い一方、配線方式など自分では選べない部分が大きいのが特徴です。

建物側に問題があったときは私たち工事人の側ではどうすることもできないため、工事の延期や中止(工事不可)になることも戸建てより多くなります。

マンションの3つの配線方式

建物の共用部(MDF室)から各部屋までの配線方式には3種類あります。

配線方式 部屋までの配線 最大速度の目安 当日の工事内容
光配線方式 光ファイバー 1Gbps〜 共用部から部屋まで光ケーブルを通し、光コンセントを設置
VDSL方式 電話線 100Mbps程度 モジュラージャックにVDSLモデムを接続
LAN配線方式 LANケーブル 100Mbps〜1Gbps 壁のLANポートに機器を接続

どの方式になるかは建物の設備で決まっており、入居者側で選ぶことは基本的にできません。「速度重視でVDSLは避けたい」という方は、物件探しの段階で配線方式を確認するしかない、というのが正直なところです。

方式ごとに当日の作業内容も変わります。自分の建物がどれに当たるかは光回線工事のタイプ別のやり方で詳しく解説しています。

壁の電話用モジュラージャックと、床に置かれた黒い縦型のVDSLモデムがケーブルで繋がっている
VDSL方式の場合は、壁のモジュラージャックにこうしたVDSLモデムを接続します。

当日の作業の流れ

作業員はまずお部屋に伺い、挨拶と機器の設置場所の確認をしてから、宅内側の作業を行います。その後、建物の共用部(MDF室など)での作業に移ります。所要時間は30分〜1時間程度と、戸建てより短めです。

共用部の鍵が必要な場合は管理会社との調整が事前に行われますが、まれに当日鍵が開けられず延期になるケースもあります。

集合住宅の共用部で扉を開いたMDF盤。多数の端子板と各住戸へ伸びる配管が並んでいる
建物の共用スペースにあるMDF。ここから各部屋へ配線が伸びています。

光配線方式で配管が通らない場合

注意したいのが、光配線方式で共用部から部屋までの配管が切れている・詰まっているケースです。VDSL方式なら既存の電話線を使うため問題になりにくいのですが、光配線方式は配管に光ケーブルを通す必要があるため、配管が使えないとその場では開通できません。マンションの場合、戸建てのように外から露出配線で引く、という対応も基本的にできないためです。

この場合は一旦工事を持ち帰り、改めて現場調査(ビル調査)を入れるか、配管の状況について管理会社へ相談する流れになります。開通までの期間が大きく延びる要因なので、当日こうなった場合は事業者からの連絡を待ちつつ、管理会社にも状況を共有しておくとスムーズです。

建物に設備が入っていない場合

築年数の古いアパートなどで建物に光設備が入っていない場合、ステップ1で触れたとおりマンションタイプでは申し込めません。どうしても光回線を引きたい場合は、戸建てと同じファミリータイプで電柱から直接部屋へ引き込むことになります。

この場合は外壁への固定やビス留めが発生する可能性が高いため、大家さんの許可が必須です。

無派遣工事(立ち会い不要)になるケース

すでに部屋まで光コンセントが設置されていて、設備が生きている場合は、作業員が訪問しない「無派遣工事」になることがあります。局側の切り替え作業だけで開通するため、届いたONUを自分で光コンセントに接続すれば利用開始できます。

  • 立ち会い不要で、費用も数千円程度と安い
  • 申込みから開通までの期間も短い(1〜2週間程度)
電源やテレビ端子と同じプレートに収まる一体型と、単独で壁に設置される分離型の光コンセント
「光コンセント」と書かれた差込口。他の端子と同じプレートに収まる一体型と、単独で設置される分離型があります。

前の入居者が光回線を使っていた物件では無派遣になる可能性が高いので、部屋にこうした差込口がないか、申込み前に確認してみてください。ただし、光コンセントがあっても設備の状況によっては派遣工事が必要と判定される場合もあります。

判断のポイントは光コンセントがあっても工事が必要なケースで解説しています。

ステップ5:開通後のルーター設定

工事完了=すぐネットが使える、ではありません。前述のとおり、工事人が保証するのは「ONUまで光信号が届いている状態」です。その先は次の作業が必要です。

  1. ONUとWi-FiルーターをLANケーブルで接続する
  2. ルーターにプロバイダの認証情報(ID・パスワード)を設定する(IPoE接続の場合は自動で繋がることも多い)
  3. スマホやPCをWi-Fiに接続する
ONUのUNI端子とWi-FiルーターのWAN端子を青いLANケーブルで接続した状態
ONUとWi-FiルーターをLANケーブルで接続。ここから先はお客様側の設定作業です。

設定方法はプロバイダから届く書類に記載されています。難しければ、多くの事業者が有償・無償の設定サポートを用意しているので活用してください。

2つの機器の役割の違いや、繋がらないときのランプの見方はONUとルーターの違いにまとめています。

工事費用と期間の目安

費用は事業者や契約プランによって幅がありますが、一般的な目安は次のとおりです。

区分 費用の目安
戸建て(派遣工事あり) 2万円前後
マンション(派遣工事あり) 1万5千〜2万円前後
無派遣工事 2千〜3千円程度
土日祝の追加料金 3千円程度
夜間・年末年始などの時間外 別途加算

多くの事業者が「工事費実質無料」キャンペーンを行っていますが、これは分割払いの工事費を毎月割引で相殺する仕組みが主流です。割引期間の途中で解約すると残債が一括請求されるため、契約前に条件を確認しておきましょう。

金額やキャンペーン内容は変わりやすいので、必ず申込み先の最新情報をチェックしてください。

現役工事人からのアドバイス:当日をスムーズに終えるコツ

最後に、日々の現場で感じている「これをやってもらえると助かる&お客様のためにもなる」ポイントをまとめます。

設置場所の周りを空けておく:テレビ裏や電話台の周辺に物が多いと、動かす時間だけで15分以上かかることもあります。事前に片付いているお宅は本当に作業が早く終わります。

希望は作業前に全部伝える:「本当は別の部屋が良かった」と作業後に言われても、やり直しは別日の再工事(有償になる場合あり)になってしまいます。気になることは最初の確認のタイミングで全て伝えてください。

ペットは別室に:玄関や窓を開けて作業することがあるため、脱走防止のためにもケージや別室にお願いします。

駐車スペースの確認:高所作業車で伺う場合、電柱の近くに停車します。前面道路が狭い、駐車が難しいなどの事情があれば、事前に事業者へ伝えておいてもらえると当日スムーズです。

当日連絡が取れる電話番号を:到着前に電話することが多いので、知らない番号でも出られるようにしておいてください。連絡がつかず不在扱いになると、工事は延期になってしまいます。

よくある質問

工事の騒音はどれくらい?近所への挨拶は必要?

ビス留めの電動工具音が数分出る程度で、大掛かりな騒音はありません。近所への挨拶は基本的に不要ですが、高所作業車が道を一時的に塞ぐ場合は、こちらから通行される方へ声かけをしながら作業します。

雨の日でも工事はある?

小雨程度なら実施します。台風や大雪など安全に関わる悪天候の場合は、事業者から延期の連絡が入ります。

開通までの間、ネットが使えなくて困る

事業者によってはWi-Fiルーターの無料レンタルサービスがあります。ない場合はスマホのテザリングやモバイルWi-Fiで凌ぐのが現実的です。

引っ越し先に前の回線設備が残っている。撤去は必要?

他社の設備が残っていても、基本的にそのまま新しい回線を引けます。撤去が必要かどうかは事業者・物件の条件によるので、申込み時に伝えておくと確実です。

まとめ:流れが分かっていれば光回線工事は怖くない

光回線工事の流れをおさらいします。

  1. 申込み・エリア確認(賃貸は大家さんの許可も)
  2. 工事日の調整(繁忙期は早めに!)
  3. 事前準備(機器の受け取り・設置場所の片付け)
  4. 工事当日(戸建て1〜2時間、マンション30分〜1時間、立ち会い必須)
  5. ルーター設定をして利用開始

工事と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、実際の作業のほとんどは既存の配管を使った1〜2時間の作業です。心配されがちな壁への穴あけも、既存配管やエアコンダクトを優先するため、実際に必要になるケースは多くありません(必要な場合も、必ず事前に説明と同意があります)。

一番のつまずきポイントは工事そのものより「繁忙期の予約待ち」と「賃貸の許可取り忘れ」です。この2つさえ押さえておけば、スムーズに開通日を迎えられます。この記事が、これから光回線を申し込む方の不安解消に役立てば嬉しいです。

光回線の現役工事人のイラスト

この記事を書いた人

光回線の現役工事人

現役の光回線工事スタッフとして、いまも日々現場に出ています。戸建て・集合住宅の開通工事の経験をもとに、工事前に知っておきたいことを解説しています。

運営者の経験と編集方針を見る