光回線工事で壁に穴あけは必要?回避できるケースも解説

光回線工事で壁に穴を開けるのはどんなとき?現役工事人が、穴あけを避ける2つの標準ルート、実際に開ける穴の大きさ、賃貸での注意点、避けたいときの伝え方を解説します。

外壁付近で作業用ドリルを使う光回線工事のイラスト

「壁に穴を開けられるんじゃないか」。光回線の工事で、お客様が一番心配されるのがこれです。現場でも「穴、開けますか?」と最初に聞かれることは本当に多いです。

先に安心してほしいのですが、同意なしに穴を開けることは絶対にありません。穴あけが必要になりそうな場合は、作業前に必ず「ここに、このくらいの穴が必要です」と説明し、了承をいただいてから作業します。断られたらその工法では施工しません。

この記事では、現役の工事人の立場から、どんなときに穴あけが必要になるのか、実際に開ける穴はどんなものか、避けたいときはどう伝えればいいのかを解説します。

穴あけは「第3の選択肢」。基本は既存ルートを使う

光ケーブルを外から室内へ引き込むルートには優先順位があります。工事の全体像は光回線工事の流れで解説していますが、引き込みルートだけ抜き出すと次の順番です。

優先順位 ルート 壁への影響 採用される場面
1 既存の電話用配管 なし(配管内を通すだけ) 配管が使える建物ならほぼこれ
2 エアコンダクト・既存開口 なし(既にある穴を使う) 配管が使えないとき
3 新規の穴あけ 直径1cm程度の貫通穴(要同意) 上の2つがどちらも使えないときのみ

つまり、穴あけは1と2が両方ダメだったときの第3の選択肢です。現場の感覚でも、新規の穴あけまで進むケースは少数派です。

ルート1:電話用の配管を使う(最も多いパターン)

多くの住宅には、電話線を通すための配管が壁の中に通っています。光ケーブルはこの配管に通せるので、壁に触れることなく、室内の電話端子付近まで引き込めます。

壁に設置された電話用モジュラージャックと、差し込む前のモジュラーケーブル
壁にこの差込口(モジュラージャック)があれば、電話用の配管が通っている可能性が高いです。

配管を使えれば配線は壁の中に隠れるので、見た目も変わりません。私たち工事人も、まずこのルートが使えないかを最初に確認します。

ルート2:エアコンダクトなどの既存の穴を使う

配管が使えない場合は、エアコンの配管用に開けられた穴(ダクト)や換気口など、すでに建物にある開口部を使います。エアコンの穴は粘土状のパテで塞がれているだけなので、光ケーブルを追加で通し、再びパテで塞げば防水も問題ありません。

この場合、室内側はケーブルが壁沿いを走る「露出配線」になりますが、モール(配線カバー)で保護するので、見た目は思ったより気になりません。

エアコンダクトの穴から壁沿いにモールで保護されたケーブルが光コンセントまで配線された室内
エアコンダクト経由の露出配線でも、モールで保護すれば見た目はこの程度に収まります。

それでも穴あけが必要になるケース

次のような条件が重なると、新規の穴あけを提案することになります。

  • 電話用の配管がない、または使えない:配管が途中で潰れている・詰まっている・別の線でふさがっている。築年数の古い建物で特に多いパターンです
  • エアコンダクトも使えない:引き込みたい部屋にエアコンがない、ダクトの位置が引き込みルートと反対側にある、ダクトの向きや状態からケーブルを安全に通せない
  • 希望する部屋まで経路がつながっていない:配管はあるが別の部屋にしか出ていない、といった場合に、希望を優先するなら新規ルートが必要になります

実際に開ける穴はどんなもの?

「穴あけ」と聞くと壁に大穴を開けるイメージを持たれがちですが、実際は次のとおりです。

  • 大きさは直径1cm前後。光ケーブル1本を通すための小さな貫通穴です
  • 場所は外壁の目立たない位置。基本的にはお客様と相談のうえ、エアコンダクトの近くや建物の裏手など、外から見えにくい場所を選びます
  • 開けた後は防水処理。ケーブルを通した後、隙間はコーキング材でしっかり塞ぎます。雨水や虫が入る心配はありません

また、穴あけとは別に、外壁にケーブルを固定するためのビス留め(引留金具の取り付け)が必要になる場合があります。「穴あけなし」で施工できる場合でも、ビス留めは発生することがあるので、賃貸で許可を取る際は「穴あけ」と「ビス留め」の両方を伝えておくのが確実です。

外壁へビス留めしたステンレス製C型金具に光ドロップケーブル引留具を掛け、平型ケーブルを固定した状態
外壁にケーブルを固定する引留金具。ビス2〜3本で留めます。

穴あけを避けたいときの伝え方

穴あけを避けたい場合は、次の2つのタイミングで伝えてください。

  1. 申込みのとき:「新規の穴あけは避けたい」と事業者に伝えておくと、工事指示書に記載され、当日の作業員にも共有されます
  2. 工事当日、作業開始前:作業前の確認のときに、あらためて作業員へ直接伝えてください。ルート選定の段階から穴あけなしの前提で組み立てられます

ただし、トレードオフも知っておいてください。穴あけを避けることを最優先にすると、次のような結果になる場合があります。

  • 露出配線が長くなり、室内の見た目に影響する
  • ONUを置きたい部屋に引き込めず、別の部屋になる
  • 使えるルートがどこにもなく、その日は工事自体ができない

「穴あけは絶対NG、でもONUはこの部屋、露出配線もイヤ」となると、現場では打つ手がなくなってしまいます。優先順位(部屋か、見た目か、穴を開けないことか)を決めておいてもらえると、その場で最善の提案がしやすくなります。

持ち家の場合:開けるかどうかの考え方

持ち家の戸建てなら、直径1cm程度の引き込み穴は過度に心配しなくて大丈夫です。防水処理をすれば実害はなく、光回線の引き込み穴は今やほとんどの住宅にあるものなので、資産価値への影響も考えにくいです。

むしろ露出配線の長さや、ONUの設置場所の自由度が上がるメリットのほうが大きいこともあります。「開けたくない」前提で固めるより、当日に作業員へ「できれば開けたくないが、ベストなルートを相談したい」と伝えて、選択肢を並べてもらうのがおすすめです。

よくある質問

穴あけを断ったら工事できないと言われた。どうすれば?

既存ルートがどれも使えない建物では、穴あけなしでは物理的に引き込めない場合があります。その場合は、開ける場所を最小限・目立たない位置で相談するか、穴あけ不要の回線(電波を使うホームルーターなど)を検討することになります。光回線の工事ができない主な原因も参考にしてください。

開けた穴は、回線を解約したらどうなる?

ケーブルを撤去しても、穴はコーキングで塞がれた状態で残るのが一般的です。賃貸の場合、原状回復の扱いは物件によって異なるため、許可を取る段階で「退去時の扱い」も確認しておくと安心です。解約時の設備の扱いは光回線の解約と撤去工事にまとめました。

エアコンの穴にケーブルを通して、エアコンに影響はない?

適切に施工すれば問題ありません。冷媒管やドレンホースを傷つけないようにケーブルを通し、パテで塞ぎ直します。ただし、ダクトの状態によっては安全に通せないと判断する場合もあります。

穴あけに追加料金はかかる?

標準工事の範囲に含まれることが多いですが、事業者やプランによって扱いが異なります。気になる場合は、申込み時に「穴あけになった場合の費用」を確認しておいてください。

まとめ:穴あけは最後の手段。心配なら先に伝えておこう

光回線工事の引き込みは、既存配管 → エアコンダクト → 新規穴あけの優先順位で検討します。穴あけまで進むケースは多くなく、必要な場合も直径1cm程度の小さな穴で、必ず事前の説明と同意があります。

心配な方は、申込み時に「穴あけは避けたい」と一言伝えておいてください。それだけで、当日の工事は穴あけなしの前提で組み立てられます。あとは当日、作業員と相談しながら決めれば大丈夫です。

光回線の現役工事人のイラスト

この記事を書いた人

光回線の現役工事人

現役の光回線工事スタッフとして、いまも日々現場に出ています。戸建て・集合住宅の開通工事の経験をもとに、工事前に知っておきたいことを解説しています。

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