光回線工事は何をする?タイプ別のやり方を現役工事人が解説

光回線工事のやり方を、戸建て・光配線方式・VDSL方式・LAN配線方式・無派遣の5タイプ別に現役工事人が解説。作業員が何をするのか、入居者は何を準備すればいいのかが分かります。

光コンセントの有無と建物設備から、無派遣・ファミリー・光配線・VDSL・LAN配線の5タイプを判別するフローチャート

「光回線の工事って、うちの場合は何をされるんだろう?」。工事内容は建物によってまったく違うため、ネットで調べても「結局うちはどれ?」となりがちです。

この記事では、光回線工事のやり方をタイプ別に分けて、それぞれ「作業員が何をするのか」「入居者は何をすればいいのか」を現役工事人の目線で解説します。まず自分がどのタイプかを判別してから、該当する章だけ読んでもらえばOKです。

この記事で分かることは次のとおりです。

  • 自分の住まいがどの工事タイプになるかの判別方法
  • タイプごとの具体的な作業内容と所要時間
  • タイプごとに入居者側がやること・準備すること

まず確認:自分はどのタイプ?

工事タイプは次の順番で決まります。

  1. 戸建て(または設備のない集合住宅) → ファミリータイプの引き込み工事
  2. マンションで建物に光設備あり → 建物の配線方式(光配線/VDSL/LAN)に従った工事
  3. 部屋に使える光コンセントが既にある → 無派遣工事になる可能性あり

マンションの配線方式は入居者側で選べず、建物の設備で決まっています。申込み時のエリア判定や事業者からの案内で判明しますが、事前に知りたい場合は管理会社に「この建物のインターネット設備の配線方式」を聞くのが確実です。

光コンセントの有無を確認し、戸建てと集合住宅の設備から5つの工事タイプへ枝分かれする判別フローチャート
光コンセントの状況と建物設備から、該当する工事タイプを確認できます。

以下、タイプ別に見ていきます。

タイプ1:戸建て(ファミリータイプ)の工事

電柱から建物へ光ケーブルを新しく引き込む、一番「工事らしい」タイプです。所要時間は1〜2時間程度、立ち会いが必要です。

作業員がやること

  1. 挨拶と設置場所・ルートの確認:光コンセントを設置する場所と、屋外のケーブルルートを最初に確認します。
  2. 電柱から建物への引き込み:高所作業車やはしごで、最寄りの電柱から光ケーブルを外壁まで架け渡し、金具(引留具)で固定します。ビス留めが必要になる場合があります。
  3. 宅内への引き込み:電話用の既存配管に通すのが基本です。配管が使えない場合は、エアコンダクトから引き込み、室内はモール(配線カバー)で保護した露出配線になります。新規の穴あけは極力避け、必要な場合も必ず事前に説明と同意をいただいてから行います。
  4. 光コンセント設置と開通確認:光コンセントを設置し、測定器で光信号のレベルを測定。問題なければONUを接続して通信試験を行い、完了です。
高所作業車のバケットに乗った作業員が、電柱から住宅の外壁へ光ケーブルを架け渡している様子
電柱から外壁へケーブルを架け渡す作業。ここは作業員におまかせでOKです。

入居者がやること

  • 設置したい部屋と第二候補を考えておく(配管ルート次第で希望に添えないことがあるため)
  • 設置場所周辺とモジュラージャック付近を片付けておく
  • 賃貸戸建ての場合は、ビス留めの可能性まで伝えたうえで大家さんの許可を必ず事前に取る(伝え方は賃貸で光回線工事の許可を取る方法を参照)

詳しい時系列は光回線工事の流れ、穴あけの条件は光回線工事で壁に穴あけは必要?を参照してください。

タイプ2:マンション・光配線方式の工事

建物の共用部(MDF室など)から部屋まで、光ファイバーをそのまま通す方式です。マンションの中では最も速度が出やすいタイプで、所要時間は30分〜1時間程度、立ち会いが必要です。

作業員がやること

  1. お部屋で挨拶と設置場所の確認:私の現場では、まず宅内側から作業を始めます。
  2. 共用部から部屋への通線:既存の配管を使って、共用部から部屋まで光ケーブルを通します。
  3. 光コンセント設置と開通確認:戸建てと同様、光コンセントを設置してレベル測定、ONUを接続して通信試験をして完了です。

注意点として、配管が詰まっていたり空きがなかったりすると、その場では開通できません。マンションでは外からの露出配線という逃げ道も基本的にないため、現場調査や管理会社への相談に回ります。詳しくは工事ができないと言われた場合の対処法を参照してください。

入居者がやること

  • 共用部の鍵の手配が必要か、日程調整時の案内を確認する(必要なら管理会社へ連絡)
  • 設置場所周辺を片付けておく

タイプ3:マンション・VDSL方式の工事

共用部までは光ファイバー、共用部から部屋までは既存の電話線を使う方式です。所要時間は30分〜1時間程度、立ち会いが必要です。

作業員がやること

  1. お部屋側の作業:壁のモジュラージャックに、音を発する探知機(トーン発信器)をセットします。あわせてVDSLモデムの設置場所も確認します。
  2. 共用部(MDF)での対線探し:MDF室には各部屋への電話線が束になって収容されています。その中から、先ほどの探知機の音が鳴っている線、つまりお客様の部屋につながっている線を探し出し、指定のポートに接続します。
  3. 開通確認:部屋に戻ってモジュラージャックにVDSLモデムを接続し、通信を確認して完了です。

「たくさんの線の中から音で自分の部屋の線を探す」というアナログな作業ですが、これがVDSL工事の核心部分です。部屋まで新しくケーブルを通す作業がないため、光配線方式のような「配管が通らない」問題は起こりにくいのが特徴です。

壁の電話用モジュラージャックと、床に置かれた黒い縦型のVDSLモデムがケーブルで繋がっている
VDSL方式では、壁の電話用差込口にこうしたVDSLモデムを接続します。

入居者がやること

  • モジュラージャックの位置を確認し、周辺を片付けておく
  • 最大速度は100Mbps程度になることを理解しておく(方式の仕様であり、工事や機器では変えられません)

タイプ4:マンション・LAN配線方式の工事

共用部から各部屋まで、LANケーブルが既に配線されている方式です。3方式の中では一番シンプルで、所要時間も短めです。

作業員がやること

MDF室には、部屋番号が書かれたLANケーブルがあらかじめ配線されています。作業員はお客様の部屋番号のケーブルを探し、指定のポートに挿し替えるだけで、共用部側の作業は実質これだけです。あとは部屋側で壁のLANポートと機器の接続・通信確認をして完了します。5タイプの中で最も作業がシンプルで、あっという間に終わることも珍しくありません。

入居者がやること

  • 壁のLANポートの位置を確認しておく
  • 事業者から機器が届いている場合は、開封して部屋に用意しておく

タイプ5:無派遣工事(作業員が来ないタイプ)

部屋まで使える光設備が残っている場合、作業員の訪問なしで開通する「無派遣工事」になることがあります。局側の切り替えだけで開通するタイプです。

開通日にやること(入居者)

  1. 事前に届いたONUを、壁の光コンセントに光コードで接続する
  2. 開通日(切り替え日)を過ぎたら、ONUのランプ状態を確認する
  3. ルーターを接続して設定すれば利用開始
分離型の光コンセントから白い光コードをONU側面下部のLINE区画へ接続した状態
無派遣工事では、この接続をご自身で行っていただきます。光コードは光コンセントからONUのLINE区画へ。

作業としてはこれだけですが、「光コンセントがあるのに派遣工事と判定される」ケースもあります。設備の状態や契約内容によるため、判定は事業者の案内に従ってください。判別のポイントは光コンセントがあっても工事が必要なケースで解説しています。

タイプ別比較表

タイプ 所要時間の目安 立ち会い 主な作業 つまずきポイント
戸建て 1〜2時間 必要 電柱からの引き込み+宅内配線 配管・地上高・許可
光配線方式 30分〜1時間 必要 共用部から部屋への通線 配管の詰まり・空き
VDSL方式 30分〜1時間 必要 モデム接続+共用部作業 速度は100Mbps程度
LAN配線方式 短め 必要 機器接続+共用部作業 特に少ない
無派遣 自分で数分 不要 ONUを自分で接続 判定は事業者次第

よくある質問

工事タイプを自分で選ぶことはできますか?

基本的にできません。建物の設備で決まります。唯一の例外は、設備のない集合住宅で条件が合えばファミリータイプを個別に引き込むケースですが、大家さんの許可(許可の取り方はこちら)と現地の施工可否確認が必要です。

VDSLの建物で光配線方式に変えてもらうことはできますか?

入居者個人の希望では変えられません。建物全体の設備更改の話になるため、要望があれば管理会社・大家さんへ伝えるルートになります。

工事タイプによって費用は変わりますか?

派遣工事か無派遣かで大きく変わり、派遣工事の中でも作業内容によって変わる場合があります。金額は事業者・プランによって異なるため、申込先の料金案内で確認してください。

まとめ:タイプが分かれば当日の不安はなくなる

光回線工事は「戸建て/光配線/VDSL/LAN配線/無派遣」の5タイプに分かれ、どれになるかは建物の設備で決まります。自分のタイプが分かれば、当日何をされるのか・何を準備すればいいのかが明確になり、工事への不安はほとんどなくなるはずです。

申込みから開通までの全体の流れは光回線工事の流れ|申込みから開通までで、工事ができないと言われた場合は原因と対処法で解説しています。あわせてどうぞ。

光回線の現役工事人のイラスト

この記事を書いた人

光回線の現役工事人

現役の光回線工事スタッフとして、いまも日々現場に出ています。戸建て・集合住宅の開通工事の経験をもとに、工事前に知っておきたいことを解説しています。

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